简介:野々村静は地方の商店街で写真館を営む父の純介と二人暮らし。純介は生まれつき聴覚障害を抱え、同じくろう者だった母は静が幼い頃に他界している。耳の聞こえる静は、幼い頃から純介の耳代わり口代わりを務めてきた。そのため、静には相手をジッと見つめたり、身ぶり手ぶりで話すクセがある。 父との会話には視覚情報が重要だからだ。 だが、そのクセは「こび」とか「ガサツ」と受け止められ、バイト先のファミレスでは同僚からは嫌われ、店長からは好意を持っていると勘違いされ、傷つくことの多い毎日。 ある時、静はファミレスの客として面識のある道永圭一がケバブの出店でつるし上げられている場面に出会う。現金の持ち合わせがないのに注文してしまい、言葉の分からない店主相手に立往生していたのだ。 静の助け船で難を逃れた圭一も、空気を読むことが苦手な男だった。 いわゆる“普通の”コミュニケーションが苦手な2人は、互いにひかれあっていくが…。